骨や筋肉、関節、靭帯、神経など、運動時に必要な部位を主に取り扱います。
骨や筋肉、関節といえば身体が正しく「動く」ために必要不可欠な器官です。
整形外科では、手足、首腰などの各関節の動きが、正しくスムーズに、痛みなく行えるようにすることが治療の目的です。
関節を動かす筋肉の疲労から来る筋肉の痛み、肩こりなどや、負担による関節の炎症、腱鞘炎など、また、捻挫や、脱臼、骨折などの外傷、等々、非常に多岐にわたっています。
さらにその中でも専門分野に分かれています。
どの診療科に掛かって良いのかわからない場合でも、上記に挙げたような症状があれば整形外科で診ることができます。その後、さらに専門分野の病院へ紹介を行うことも出来ますので、安心してご来院ください。
本来は外から侵入してくる細菌やウイルスなどの自己と異なる異物を認識し排除する役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細部や組織に対して、誤って異物と認識して攻撃してしまう病気を自己免疫性疾患(=膠原病)と言います。
その中で、関節を主に攻撃破壊してしまうものが関節リウマチです。両側の手指関節の痛みや腫れ、こわばり、変形などがよくみられますが、肘や肩関節、股関節や膝や足関節、頸椎などいろいろな関節にも発症します。
もしかして可能性がありそうな人は、早めの受診をお勧めします。変形を起こす前の早期発見、早期治療が重要です。
各イラストにある項目の痛みや、こり、炎症などは、ご相談ください。
その他脱臼・骨折・交通事故などの対応もさせて頂きます。
頚椎も胸椎も腰椎も基本的には背骨として一つの柱になっていて、全体で一連として動いています。頚椎は7つ・胸椎は12つ・腰椎は5つありその下は仙骨に繋がっています。仙骨の両側には腸骨がくっついていて骨盤を形成していますが、仙骨と腸骨の間の仙腸関節はほとんど動かない関節です。基本的に頚椎は前弯(前方に凸)・胸椎は後弯(後方に凸)・腰椎は前弯・仙骨は後弯して全体にS字状にカーブしており、全体でバランスをとって姿勢をつくっています。良い姿勢をしていれば負担は少ないですが、崩れた姿勢をしているとその負担でいろんな状態が起こってきます。バランス崩れのもとは胸椎の後弯の程度・硬さが最も関係し、次に仙腸関節・股関節が絡んでいます。頭を支える頚椎や上体全体を支える腰椎はそのシワ寄せの負担がかかります。
背骨は24つの骨で共同作業をして動いています。どこかが弱く悪くなっても他の所が頑張ってそれをカバーすることができているうちは症状はないかもしれませんが、カバーできなくなると症状が出ます。背骨は骨と骨の間にある軟骨と線維でできたクッションのような椎間板で動いています。この椎間板に負担が掛かり炎症を起こしたりした状態を椎間板症・椎間板障害、椎間板が壊れて後ろにとび出て神経を圧迫して神経症状があるものが椎間板ヘルニア、椎間板が弱くなり神経の通り道の後ろにある椎間関節で炎症があると椎間関節炎、更に椎間関節の関節包や靭帯が肥厚して前からはヘルニアで、後ろからは椎間関節の靭帯で圧迫されて神経の通り道が狭くなったことで症状を起こしたものが脊柱管狭窄症です。また、肩こりもこういった姿勢の悪さ、体の使い方からくる首の後ろから肩、背中にかけてある僧帽筋の疲労が原因であることが多いです。
治療は弱い所で起こっている炎症を治める為に内服や外用薬を使う方法、内服にも種類がありますがそれでも充分でないときは注射もあります。注射も痛みのあるその部に注射をするトリガーポイントや神経ブロックなどがあります。より根本的な治療として弱い部分に掛かるストレスを軽減する為に環境を改善するためにリハビリをする方法があります。
しかし、これらの治療にも限界はあり、改善しきれない場合は手術をしなければならないこともあります。が、手術をして症状が良くなったとしても、その状態がずっと保たれるためには、やはり、あまりストレスが加わらない環境であることが重要です。悪い環境が残ったままであるとそのうちまた同じようなことが同じ部分や手術をした隣の部分で起こってくることがあります。
また、腰椎には、成長期のスポーツ障害として腰椎分離症があります。運動で身体を反らして捻じったり繰り返す中で、腰椎の後の神経の通り道を囲っている部分にストレスが加わって疲労骨折を起こし、そのまま骨がくっ付かないままで離れた状態(分離)となったものです。発症早期1カ月以内くらいに確認され治療を頑張るのであれば、また癒合して治ることもあります。やはり、これも、運動を続けるのであれば、リハビリをして、ストレスの加わる環境を改善しておくことが良いと思われます。
腱板断裂は外傷性におこることもありますが、五十肩はだいたい40〜50才くらいで徐々に起こって来ます。肩関節は肩甲骨が肋骨の背部に筋肉で乗っかっていて、上腕骨が肩甲骨に筋肉の板状になった腱板で引き付けられて中心が安定したところで、三角筋で色んな方向に動きます。この動きのリズムが上手に負担なく動かせていれば良いのですが、年齢と共に体が固くなって来て、リズムが崩れ負担の掛かった所で炎症を起こしたり(腱板炎)、更には筋が弱くなってすり減ったり断裂したりして問題を起こして来た状態が五十肩です。知らず知らずのうちに起こってくることもありますが、何か少し捻じったり、変な体勢をしたりしてちょっとしたきっかけがある場合もあります。さらに時間が経つと段々と組織が固くなって関節の可動域が悪くなります。症状は炎症が強い時期や、炎症を刺激する動きをした時、悪い可動域を無理に動かした時、などに痛みを伴います。よく、『五十肩は様子を見ていればそのうち治る』と言われます。多くの人は、炎症が特に強くなった時か、生活に困るくらいに可動域が悪くなった時に病院に来ます。確かに強い炎症は自然に治る事もありますが、多くは可動域の悪さは残ったままです。これは強い炎症を起こす予備軍の状態です。やはり、可動域を含め関節の動きを良くすることまでリハビリなどで頑張って治しておくことがより良いですね。
股関節は腸骨お椀のように凹んだ受け皿の部分(臼蓋)に大腿骨の頭の丸くなった部分(骨頭)がはまり込んでできている関節です。お椀の縁には更を軟骨の土手(関節唇)が囲っていて、股関節は非常に安定の良い関節ですが、先天的にお椀が浅くてもともと安定が悪い人(臼蓋形成不全)、軟骨の土手が弱くなってきて安定が悪くなってきた人など、関節にストレスが加わり年齢とともに軟骨が徐々にすり減って変形してきた病態が変形性股関節症です。
治療としては、もともと臼蓋が浅い人はまだ変形が軽度で若い人は腸骨の骨を切ってずらすことで深い臼蓋にする手術をしたり、年齢がある程度以上になってしまったり変形が進んでしまった人は人工の関節に取り換える手術をします。
インピンジメントは『衝突』や『挟み込み』という意味です。臼蓋や大腿骨の形態異常があると、関節を大きく動かす時に関節唇が当たったり、挟まれたりして損傷することがあります。サッカーやダンスなど不自然に関節を動かしたり、クラシックバレエのように大きく動かしたりなどの運動で発症することや、腰や骨盤・股関節の硬さなどで動きに負担が掛って発症することもあります。サッカー選手に多いグロインペインの原因もFAIが関係していることも多いです。
治療はストレスが加わって炎症を起こしている部分に対し、内服・外用薬を使用したり、注射もあります。が、運動をしている人や根本的な治療は、やはりリハビリで股関節の環境を良くしてストレスが加わらないような状態で関節を動かしていけるようにすることがよいでしょう。放置しておくと、徐々に、関節が壊れて変形して変形性股関節症となってしまうこともあります。
膝関節は平らな脛骨の天井に大腿骨の下端が内側外側で前後に半円状になった部分が乗っかってできている関節です。前後には動きますが、靱帯が内側外側にありグラグラしないようにできていて、更に内側外側に半月板という軟骨の板が土手の様に外周を縁取るように安定性を補強しています。歩行時はその中で内側や外側にストレスが加わります。日本人はO脚が多く内側にストレスが加わることが多いです。このストレスで内側の半月板や大腿骨や脛骨の軟骨が弱くなってグラツキが増悪し軟骨がすり減って骨も変形してきます。運動することによるストレスや年齢によっても進行して来ます。
年齢が若いうちは、まだ軟骨も丈夫で、ストレスの問題は靭帯や関節の膜にかかって炎症を起こす(膝内障)ことが多いですが、年齢を重ねるに従って軟骨が傷んできて弱くなりグラついて変形してきます(変形性膝関節症)。若くても使い方があまりにも激しいスポーツ選手や、外傷で靭帯を傷めたりした既往のある人は普通よりも早く20代や30代でもすでに変形性膝関節症になってしまっている人もいます。
治療はそのストレスによって起こった炎症を治めるために、内服外用薬を使ったり炎症を抑える注射をしたりする方法と、炎症を起こさないようにストレスを軽減する為に歩き方や体の使い方などをリハビリで改善していく方法があります。ヒアルロン酸の注射を続けて行く方法もあります。予防も含めてリハビリで改善出来る事がより根本的な治療と言えます。それでも変形が進んでしまった人は、人工の関節に取り換える手術をします。
また、成長期の障害としてオスグッド病があります。お皿(膝蓋骨)のしたで脛骨に繋がる膝蓋靭帯の脛骨のくっ付いている部分で炎症を起こしたり、骨が変形して不正になったり、さらに骨が剥がれて余分な骨片が出来てそれが後遺症として残ることもあります。これも、くっ付いている部分に踏ん張ったりした時に掛るストレスが原因であり、これを軽減するようにリハビリで環境を良くします。場合によっては内服・外用薬や時に注射をすることもあります。
足は横から見ても前から見ても弓なりになっています(アーチ)。このアーチで体重が掛ったときに弓がしなって体重を弾力的に支えています。扁平足はこのアーチが少ない状態です。アーチが上手く働かないことで衝撃が上手く吸収されず、ストレスで痛みが発生する状態が扁平足障害です。もともと、幼少時に歩き初めの頃は誰もが扁平足で土踏まずがありません。歩き初めて、体重が掛って筋肉が発達してくるに従ってアーチが出来てきます。この発達が未発達のまま大人になっても扁平足のままの人がいます。また、外反母趾のように体重のかかり方の崩れが影響して徐々にアーチがなくなってくることもあります。 治療としては、足の筋力練習や足底板などでアーチを補強します。